コラム

天使と悪魔について

飯田敏勝

 祈祷会で(中心的な部分ではないのですが)天使と悪魔を扱ったら、思いの他反応がありましたね。
 天使も悪魔も確かに聖書に登場してきますが、教理の骨格に大きく関わるわけではありません。ゆえに扱うことが多くはなく、とはいえ、世間での関心は強く、モヤモヤ感がクリスチャンにあることはうかがえます。
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 ディズニーの中ではマイナーですが(わたしは大好きなんですが)『ラマになった王様』をはじめ、個人の分身が天使と悪魔の姿をとって現れ、それぞれ良いこと悪いことを忠言することは、現代の娯楽作品でもよく見かけます。そんな場面にクリスチャンもそうでない人も、影響を受けてしまっていることでしょう。
 聖書の中での天使の役割は明確で、一つには神さまからのメッセージを届けることです。もう一つには、神さまを讃美することです(イザヤ6:3)。ケルビムやセラフィムも天使の一種と解してください。
 一方で悪魔は、わたしたちが神さまから離れるように誘惑することが主な働きです。祈祷会で扱ったヘブライ2:14では原罪との関係で「死をつかさどる者」と称されますが、信仰者を本当に悩ませるのは聖書の言葉を使って(マタイ4:6)すら道を惑わせようとする巧みな手立てです。
 まさにオレオレ詐欺的なんです。
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 ヨブ記のサタンの言動の仕方は特殊ですが、ヨブ記が元々戯曲であると考えると読み解くヒントになるのではないでしょうか。(解説が必要なら、どうぞ個人的にお尋ねください。)
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 信仰者が整理しておいたほうがいいのは、天使も悪魔も、神さまの被造物だということです。神さまは天地万物を創造されましたが、「地」にあるものの創造は創世記冒頭で割に語られています。ただ、天使も悪魔も(それらの働きが「地」に突入してくる証言が聖書に残されているとしても、基本的には)「天」における被造物だということです。
 悪魔は天使が堕落したものだという説があり、聖書にもそれをうかがわせる記述(ユダ6)があります。神さまが悪魔をそのままに創造されたとは、確かに考えにくいものです。
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 ただ「天」は単に空高くにあるのではなく、人間が把握できない領域です。宇宙のことだって現代科学で知見も増えてきました。その意味では、宇宙も「地」です。
 神さまがそこに身を置かれている世界(その領域をすら神さま御自身が創造されました)こそが「天」であり、基本的には天使も悪魔もそこに属する被造物なのです。そうした天使や悪魔を「地」のものと同様に知ることはできません。この二点を信仰的な基本的見解として踏まえましょう。