コラム

讃美歌解説『主の食卓を囲み

飯田敏勝

 来月の聖餐において『讃美歌21』81番「主の食卓を囲み」を讃美します。
 教会全体修養会で「新しい歌を主に向かって歌え」というのは単に新規な歌のことではないと言いましたが、それでも、実際に新しい歌を歌わないと心が弾まないというのも事実です。
 草深では思いの他、Ⅱ編も礼拝中で扱うことが少ないのが今の実態のようなので、『讃美歌第二編』や『讃美歌21』の曲も意識的に主日礼拝中で採り上げたいと考えます。
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Ⅰ編の聖餐式の讃美歌は(注意深く見ればそれだけではないのですが)、聖餐の由来となった聖書箇所を歌詞にして、過去を向きがちです。
しかし、聖餐は過去の想起だけではなく、現在の教会を形作り、将来与えられる恵みの先取りでもあります。
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 21-81の歌詞は何より、現在の聖餐卓の周りで展開する思いや動きをそれぞれの節で語り、繰り返しでは「マラナ・タ」と歌います。聖書ではⅠコリント16:22、黙示録22:20に出てきますが、「主よ、来てください」という意味です。
 讃美歌の歌詞の「主のみ国がきますように」は、主御自身が再臨すれば必然的に起こることですが、文字面としては少々飛躍しています。
 それでも、代々の聖徒たちが祈ってきたマラナ・タをわたしたちも祈ることは、信仰を培う上で大いに役立ちます。アドベントには終末を待望する意味合いもありますが、マラナ・タと歌えば、各々の聖餐でも主が提示してくださったものと共に思い起こすことができます。
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 『讃美歌21』の特徴として、歌詞を口語にできるだけしようとしています。すると言葉数も多くなり、八分音符がずっと連なったりします。
Ⅰ編は四分音符が基本で音符一つずつを歌っていくような感じになります。口語調の曲ではお話しするような感じで、音や単語で区切るより、なだらかなメロディーラインに乗せてフレーズ(句)や文を歌うよう意識を改めましょう。ただし、この曲は繰り返し部分に入るとメロディーの躍動感が増します。特に二回目の「みくにが」の後で急に低くなるところは注意が必要ですが、最後の「きますように」の祈りを落ち着いて歌うように心がけましょう。
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 歌集としての『讃美歌21』は玉石混交で、新し過ぎたりして歌えない曲もあったりします。これは適度な前進が見られる佳曲でしょう。
アーメンは付けずに讃美したいと思います。「マラナ・タ」自体が祈りとして完結した言葉でもありますし、アーメンを変に終わりの合図にしないためにも、アーメンがない讃美にも慣れていきましょう。