コラム

全都道府県にある教会

飯田敏勝

 祈祷会で祈りの課題を挙げるところで、わたしが担当する回は「日本基督教団のために」何か項目を挙げることにしています。
 「静岡草深教会」のために祈るのは当然としても、距離的・人員的に身近な「中静分区」や「東海教区」の方が親しく思え、また皆さんが実際にその活動に携わったり、交流を持つ機会が多いのは確かです。
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 しかし真の教会のしるしは、①神の言葉の真の宣教、②聖礼典の正しい執行、③教会的訓練としての戒規です(参照、スコットランド信条第18条)。 これらを担うのは各個教会と教団(教師の戒規は教団の教師委員会にて行う)です。
 日本基督教団の教憲で、教団・教区・教会のいずれも「教会的機能および教務」を行うのですが、第6条を見れば、教区は教団や教会の補助的役回りとなります(教規第66条にある教区こそが担う教会的働きがあるのも確かですが、先に述べたように教会としての決定的働きは教団および教会が担うのです)。
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 もうちょっとやさしく語りましょう。
 日本基督教団は、約1650教会・伝道所の日本最多のプロテスタント教会です。北海道から沖縄まで全都道府県に教会があります。
 当たり前のようですが、実はそうでもないんです。
 諸々のプロテスタント教会の教団でも、教会がある地域に偏りがあるのが現状です。東北だけとか、関西に数が多いとか、です。全国を教区などでカバーするとしても、その中に教会の空白地域があったりします。
 日本キリスト教会(通称:新日キ)でも北東北には秋田教会しかなく、東京中会に属しています。南東北にははいくつか教会があるものの、日常的に交流を持つのは難しいものです。同じ日本基督教会(旧日キ)の伝統を有する大曲教会とは、講壇交換や互いの説教応援、牧師の読書会などをして、教会的交流を持っていました。
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 日本基督教団にしても、日本国内の全市をカバーするには至っていません。奥羽教区内では久慈市(『あまちゃん』の舞台ですね)に教団の教会はなく、宣教的課題でした。
 しかし、現状で数の多さを誇って日本基督教団だけで解決しようとするのも、高齢化や人口減少――教団の教会だけでなく、我が国自体――の状況の中では無理があります。
 教団の教会のない地域でも、同じ福音に立つ教会と連携できることこそが、とりあえずの答えになります。辻宣道牧師の『処方箋』にもこのことは書かれてます。そして、他の教団の教会が手薄な地域にある教団の教会が、逆の役割を果たすことも重要です。