コラム

讃美歌解説『聞け、荒れ野から』

飯田敏勝

 『讃美歌(1954年版)』を使う牧師には悩みがあります。アドベント(=待降節)の讃美歌が少ないのです。単純に数えれば「待降」の曲は94~97番の四曲だけです。待降節の主日が四回あるので、どう考えても少なすぎるでしょう。
 22番、172番、352番など他の項目ながら転用できる曲もあります(実際174番や218番は、『讃美歌21』ではアドベントの曲にカテゴライズし直されています)し、Ⅱ編も活用したりしながら毎週の曲を選ぶほかありません。
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 それは多分に礼拝学が未発達であった影響でしょう。クリスマスと連結しているアドベントに「降誕」の歌でもいいかと判じていたのでしょうが、教会歴の区分毎に相応しい歌が十分にあるべきです。ドイツなどは、クリスマスとは違う「アドベントソング」がはっきりしているそうです。
 青い表紙の『こどもさんびか(1987年版)』には、アドベントの内容の曲が皆無です。大いに見直すべき点かと思います。
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 『讃美歌21』でこの状況は解消されました。「再臨」と共通のカテゴリーで、アドベントの歌が十七曲収録されています。
 「久しく待ちにし」も、もちろん主を待望する歌詞だと分かります。しかし口語的なタイトルの「主を待ち望むアドヴェント」や「キリストは明日おいでになる」は、この時期の本質を明瞭に語っています。
 信仰的姿勢を告げる「さばきを伝えよ」や「闇は深まり」、聖書の典拠が明確な「高く戸を上げよ」や「ヨルダンの岸で」など、『讃美歌21』このアドベントの部分には活用し甲斐のある曲が、多々あります。
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 草深のアドベントでは『讃美歌21』237番「聞け、荒れ野から」を讃美します。
 既に先週讃美歌練習も行いましたが、音数が多くて慣れるまでは大変かもしれません。それでも練習の際にも申しましたが、一節後半の歌詞とメロディーラインの響き合いなど堪能していただければと願います。
 歌詞中に「 」があり、聖書からの引用が多いのも一つの特徴です。典拠(歌詞の下に小さな活字で書かれている箇所)の聖書も実際に開いて読んでみて、詞の理解を深めていただければと思います。
 口語の歌詞なので強弱や喜怒哀楽も加味しやすいでしょう。また、聖書の引用部分は宣言としての性質があり、堂々と歌うことも大切です。人が判断して正しいから讃美するというのでなく、聖書の言葉だからこそ高らかに歌っていく中で、その内容の真理の世界にわたしたちも導き入れられるのです。