コラム

草深のクランツについて

飯田敏勝

 教会暦では12月25日のクリスマスから1月6日の公現日までがクリスマスシーズンです。
 この間、諸々の飾りつけもそのままのことが最近の日本の教会では多いですね。
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 さて、クリスマスに先立つアドベントの飾りとして、教会にはクランツが置かれます。ロウソクに主日ごとに灯りを増やし、四本に火がともるとクリスマスを「迎える準備ができた」ことになります。
 誤解も多いのですが、四本に火がともった途端クリスマスに「なる」のではありません。
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 五本目のロウソクも立ててクリスマスに点けることもあります。ですがインスタグラムなどで検索しても、海外を含めクランツは四本の方が圧倒的に多いですね。
 クランツが輪型の場合、五本目は真ん中に置きます。
 ロウソクの色に絶対の決まりはありませんが、教会歴においてはアドベントとレントは、待望や悔い改めを意味する「紫」があてがわれます。
 クリスマスは、イースターなどと共に最も聖なる日で「白」です。
 緑の常緑樹の葉でクランツが作られていると補色の赤が一番映えます。ただし、教会歴では「赤」はペンテコステの色です。
 その他の時季も含め、礼拝堂内に置く布や、牧師や司祭が身に着ける衣服にも、この教会暦と合わせた色が用いられることがあります。
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 教会には、儀式を重視する「ハイ・チャーチ」と、あまり重視しない「ロー・チャーチ」があります。プロテスタントは概してローですが、カトリックに近い聖公会は当然ハイになってきますし、メソジスト派はそれこそメソッド(方式)を重視するので、教会暦に従うことも多くなります。
 それにプロテストしたわたしたちはローの中でもロー気味でしょう。
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 さて、そうなると「チコちゃんに叱られる」ようなことにもなりかねません。すなわち、何気なく行っていることの真義を失念しかねないのです。
 輪型のクランツなら位置だけでも五本目のロウソクが明確です。しかし横並びで全部赤いロウソクだと、アドベントの意味も、クリスマスの意味も、表現できていないのです。
 横並びで五本立てるクランツも見かけることはありますが、経験上だとすべて真ん中に白いロウソクを置いていますね。山型になるよう高さを付ける工夫が加えられたりもします。位置や色でアドベントのロウソクとは区分されたことを伝えています。
今年のクリスマスに向けて心に留めておいてください。また改めて協議したり、説明したりします。