コラム
聖書通読のために
飯田敏勝
聖書通読のニーズがあることを、折に触れて聞き及んでいます。大きな流れを以下の解説で確認してください。そこに出てくる箇所をまず読んでみてはいかがでしょうか。
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聖書の前の部分は「旧約」になります。これはキリストが生まれる前に書かれました。旧約は一貫して「いつか救い主がやって来られる」というメッセージを伝えています。
旧約は天地創造(創世1~3章)から始まり、ノアの箱舟(創世6~8章)へと続き、それからイスラエル人の先祖アブラハムが登場(創世15章)します。なぜイスラエル人?と思う人がいるかもしれません。それは、イスラエル人が旧約における「神の民」であって、神はこのイスラエル人を通して、人間を助けようとされたからです。これは旧約を理解するための大切な鍵です。
続いて、十戒で有名なモーセが登場(出エジプト1~2章)します。やがてイスラエル人は今のパレスチナに定住して、王国を築きます。名君ダビデ王が活躍(サムエル上17章)したのもこの頃です。
また旧約には、預言者が現れます。預言者とは神から言葉を頂いて、それを民に伝えた人たちです。イザヤ(イザヤ6章)やダニエル(ダニエル1章,6章)はそういった預言者でした。
イスラエル人は神の民でありながら、神に従うことが十分できず、失敗の連続でした。
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聖書の後の部分は「新約」で、これはキリストが生まれた後に書かれました。新約は一貫して「救い主がやって来られた」というメッセージを伝えています。
新約では、まずキリストの誕生(マタイ1~2章)が語られます。
キリストの行い(マタイ9章)とその教え(ルカ10章,15章)は福音書という部分に収められています。けれども福音書の中心は、何といってもキリストの十字架(ルカ23章)と復活(ヨハネ20章)でしょう。
キリストが天に帰られてから、その弟子たちがキリストの教えを宣べ伝えます。中でもパウロ(使徒9章)は各地に宣教(使徒16章)しながら、信者の共同体すなわち教会を築いていきました。この教会は新約における「神の民」であり、イスラエル人に限らず、キリストを信じるならば誰もが入ることができます。
パウロやその他の弟子たちは、教会を励ますために多くの手紙を書きました。いくつもの手紙が新約に収められ、信仰生活を送るための指針となっています。
キリストを信じると罪の問題が解決され、新しい人生が始まります。新約では、その新しい希望に従って歩むようにと勧めています。