コラム

「メディアによって」

飯田敏勝

 最近わたしのSpotifyでのヘビーローテーションは、Kings Retu rnです(=キングス・リターンの歌をよく聞いています)。 四人組のアカペラ・グループで、讃美歌もよく歌っています。

 それこそ『讃美歌(1954年版)』にも収録されているような、伝統的な曲を現代のアカペラのハモリを加えたアレンジで歌うので、世代を超えて多くの方に、温故知新的に響くと思います。

 ま、こうしたことは“百見は一聞に如かず”なので、YouTubeやSpotifyを扱える人に頼んで、一度聞いてみてはいかがでしょうか。

 彼らのAmazing Graceは絶品だと、わたしは評します。1番はメロディー以外デューワップですが、‘was blind’のwasだけ歌詞でハモることで、その過去と恵みを受けた今との対比がさやかになります。

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 YouTubeの動画コンテンツで、ちょっと注目しているのはCGN Japanのアニメです。

 CGやAIの発展によって、聖書物語のアニメも近年爆発的に増えています。が、基本的に構成展開はストーリー・テリング、つまり、物語の筋を追っていく、いわば紙芝居的なものです。

 一方でCGNのアニメは、「不信仰の巨人」や「JOSEPH×FAMILY」のタイトルからうかがえるようにパロディも多く、実際アニメの中での一発ギャグでふき出してしまうような笑いを盛り込んでいます。しかし、そうした感情的なテンポも計算し、神学的に鍵となる言葉もきちんと盛り込んで、動画は作成されています。

 かつてビデオテープ中心のメディア時代のアニメで、Veggie Talesがキャラ設定を野菜にしてエポックメイキングな作品になったように、 SNS時代に相応しいコンテンツが現れた気がします。

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 本文中はもとより、タイトルによく分からないカタカナ語をつけて恐縮ですが、「媒体」と翻訳しても、訳が分からないのは変わりませんよね。要は、こういうことです。

 古き良き讃美歌を、新しい歌い方で歌って、古い世代にも新しい世代にもウケるであろうKings Returnというグループを紹介したい。

 真面目な聖書物語の動画を期待している人は眉をひそめるでしょうが、CGNのアニメはSNS世代にアピールしそうだ。

 要約すれば以上ですべてですが、それをそれなりに説明しようとすると、これだけ現代用語や外国語の固有名詞も使わないと説明し難いのです。

 「何を」伝えるかは変わらなくても、「いかにして」伝えるかは、道具の発展や時流によっても変わってきます。「メディア」はそれと関わる用語で、新たな手法で福音を届ける道も時に拓かれるものです。