

コラム
「歌は世につれ」

飯田敏勝
8月31日のコラムで宮崎洋長老が書いていましたが、こどもさんびか53番「しゅにしたがいゆくは」は、わたしも大好きな讃美歌の一つです。教会学校は幼稚科や小学科がメインであって、この歌集を用いているとき、讃美歌のスタンダードになろうかと思います。
スタンダードの意味は、音楽では皆に好まれて「定番」の曲になるということがあります。それと共に、スタンダードには「基準」の意味もあります。
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テレビのインタビューで、女優の満島ひかりが思い出の歌を10曲を挙げるのを見たことがあります。その最初の一曲が、こどもさんびか22番「おほしがひかる」でした。教会学校育ちなら、さもありなんです。
子どもの娯楽も多様化していっていた時代、この位のノリの良さがないと、興味を引かないと思います。
『こどもさんびか』は1966年刊。1983年に『こどもさんびか2』が出て、青い表紙の合本が1987年です。新たに加わった内で、85番「かみさまにかんしゃ」や129番「どんどこどんどこ」のリズムは、やはり印象に残っています。その躍動感は、讃美の原体験です。
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そんな世代だからでしょう。
1935(昭和10)年生まれで日曜学校で育った嶋田みどりさんの愛唱讃美歌が、(1954年版『讃美歌』の)463番「ささやかなる」であることに、ジェネレーションギャップを覚えました。
もちろん、当時としてはこれがスタンダードでしょうし、心たかぶるのに十分でしょう。ただ(これももう既に古い時代の言葉ですが)「現代っ子」には、歌詞も旋律も、正直共感しにくいものです。
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とはいえ、上の世代の経験を変えようもありません。
1997年刊の『讃美歌21』には、歌詞も旋律も変えずに収録した曲は両手の指の数ほどもなく、これは大きな問題だと吹聴しています。
ただ、その内の一曲に「山路こえて」があります。個人的感覚からすると「これ要る?」なのですが、それを実際言明してみると、思いがけぬ反論に遭ったりします。
なので自分の価値判断だけに依らず、先週(牧師になって初めて礼拝で選曲して)用いた次第です。
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讃美歌集は20~30年で変えていくのが世界のスタンダードだそうです。古い曲も一定割合収録して、移り変わりがしやすいようにし、新しい歌も讃美していくのです。
信仰が培われるとき、歌と音楽の力も本質に関わっています。それに適う讃美歌をきちんと歌い継いでいきたいものです。