コラム

「クリスマスの讃美歌」

飯田敏勝

 クリスマスは、讃美歌が心に響く時期でしょう。

 カテゴリーとして、アドヴェントに歌う「待降」と、クリスマスになって歌う「降誕」とがあります。『讃美歌(1954年版=Ⅰ編)』には「待降」の歌が少なく、四曲しか収録されていません。一回の礼拝の中で、三曲程度は讃美するので、四回あるアドヴェントの礼拝をⅠ編だけでカバーするのには無理があります。

 この点、『讃美歌21』がアドヴェントの歌を十七曲に増やしたのは、当然と言えば当然です。

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 「きよしこのよる」は、スタンダードですね。クリスチャンでなくても知っていますし、信仰者なら なおさらです。礼拝に来られないお年を召した方のところで歌うと、昔を懐かしんでおられます。

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 その次のスタンダードは、「あらののはてに」、「もろびとこぞりて」、「まきびとひつじを」辺りでしょうか。教会学校育ちの者には、「いざうたえ」も候補に挙がります。静かめの曲もありますが、勢いのある曲が多いですね。

 クリスマスの喜びを歌う曲は、やはり長調です。しかし、超メジャーでなくとも「いけるものすべて」や「まぶねのかたえに」など、短調のクリスマスの曲もあります。イエスさまが世に来られたことの深い意味を教えてくれるようで、心引かれるところがあります。

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 『讃美歌21』では、地理的な広がりを感じさせる曲もあります。

 21-254「小鳥も飛び去る冬のさなか」はカナダで生まれたフランス語の曲、21-279「ふるさとを離れて遠く」はプエルトリコのタンゴ調の曲。こうした曲を集めて、讃美歌で世界一周もできるかと思います。

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 讃美歌は普通、初見でも歌えるくらいの易しさであることが、誰でも来てよい礼拝に相応しいでしょう。

 しかし、『讃美歌第二編』は音楽的なバラエティを増やしています。Ⅱ219「さやかに星はきらめき」の高音部を歌える人は限られるでしょうが、朗々と歌えれば気持ちいいでしょうね。

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 クリスマスのムードを味わうことも、深い意義をさぐることもできる、讃美歌に皆さんがなお親しんでくださればと願います。