コラム
「主を待ち望むアドヴェント」

飯田敏勝
アドヴェントは「到来」を意味するラテン語Adventus(アドベントゥス)から来ていて、かつての「キリストの到来」ならびに、これからの「再臨」を待望する時期のことです。クリスマスまでの四週間で、クランツと呼ばれる装飾がなされます。アドヴェント・クランツのろうそく「四本に火がともると、クリスマスを迎える準備ができた」ことになります。
近年、第四アドヴェントの日曜にクリスマス礼拝を守る教会も多く、「四本に火がともると、クリスマスになった」という誤解も多く生じています。
そのためか、クランツに元来ろうそくは四本ですが、五本目の、「クリスマスを迎えた」意味のろうそくを立てることもあります。輪型のクランツならば、五本目は中央に立てますね。
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クリスマスは固定祝祭日であって、イースターやペンテコステのように年によって(月の満ち欠けとの関係で)日が変わることがありません。日曜日以外であっても、12月25日(もしくは24日の日没後)に主日礼拝に匹敵する正式な礼拝を守るべきなのです。
ですが、そのような礼拝が昨今まれなゆえに、アドヴェントについても混乱が生じている気がします。
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草深のろうそくが横並びで五本なので、昨年から色を変えました。中央の白いろうそくはクリスマス用です。紫は教会暦で待望を意味します。四本目のろうそくはピンクを使用することがあります。
キリスト教に限らず宗教全般において、教義などは明瞭な言葉で規定していきます。その一方で合理的説明だけでなく、シンボルを用いて伝えることも大きなウェイトを占めます。
クランツは従来、冬でも枯れない常緑樹の葉を土台に用います。永遠の命を思い起こさせるためです。教会暦に定められている色も、イメージとの関連が強いものです。
ろうそく五本を横並びにしたとき、やはり中央を際立たせる工夫が要ります。さもないと単に時間的順序でクリスマスが到来するように誤解されますから。循環するこの世の時間の中に、キリストが神の定めで一度だけ到来したことは、クランツにおいてはシンボリックに伝えねばなりません。
頭だけでなく、わたしたちの五感において、アドヴェントの時期の大切さを覚えていきましょう

