コラム

この感動(おもい)を分け愛たい

牧師 飯田敏勝

 子育て終了世代には金曜夜7時のイメージがまだ抜けていません(現在は土曜午後5時です)が、かつては日曜の午前中でした。テレビ朝日系列での『ドラえもん』の放送時間です。
 言わずと知れた子ども向けアニメですね。わたしが小学生の頃は教会学校の終わった後、そのまま別室で視聴したり(教会によってはその頃普及し始めたビデオで録画した上で)していました。

 現在の日曜の朝は、プリキュア・仮面ライダー・スーパー戦隊の各シリーズが連続して放送されています。年毎にテーマや登場キャラクターが刷新された新シリーズになります。大半の未就学児は、これらに触れていることでしょう。
 かつてライダーの新シリーズが始まったその朝に、啓子牧師が教会学校の子どもに話題を振ったことがあります。子どもは興味のある分野なので目を輝かせていましたし、親は牧師が礼拝前に何を見ているのか? と目を丸くしていました。

 わたしはコミュニケーションツールとしてより、あくまで自分の関心が赴くままに視聴しています。そうした中で目下放送中の『デリシャスパーティプリキュア』は、注目に値します。
四人目のプリキュアが今月誕生しました。途中でメンバーが増えるのは最近の定番ですが、それが仲間内からではなく、敵方からだったのが斬新でした。
 これまでのシリーズで、最終的に敵方のボスや手下たちが救われるような話の展開もありました。しかし今回は、最初の四半期が終わった程度の時点で方向転換したのです。
 四人目登場は前もって予告されていたので、驚きでもなんでもありません。ただかつて敵だった者なので、それなりに激しいドラマが生まれます。SNSで第18話は(クリスチャンが使う言葉でないですが)神回と称されています。
敵だった四人目が、新たな使命に自分は決して相応しくないと固執するのは当然です。それを主人公が「明日は変えられる」と励ますのです。
 そこにまさに悔い改めが起こります。

 週毎の一話一話は基本的に、最後にヒロインたちが勝利するし、プリキュアに変身する前の日常のドラマもハッピーエンドで、時代劇風の安定感です。
 そうした基調の中に盛り込まれる、一年間を通してのドラマ展開は、幼児向け番組とはいえ結構複雑です。
 敵と味方に分かれて戦って主人公側が勝利するというのは、物語の定番の型でしょう。しかし、現実の世界では敵と味方は相対的なものであり、敵だからやっつけてもいいんだということは教育上勧められません。とはいえ敵を愛していたら物語が破綻してしまう中、現代のストーリーテラーがいかに腕を振るうのかを、これらの幼児番組では堪能できます。

 ちなみにコラム表題にしたのは主題歌の一部です。書かれた文字と違う音読すべき文字があったりします。旧約の原語ヘブライ語では、それは「ケレー」と呼ばれる約束事になります。