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ナアマンのいやし

(列王記下5章8~15節)
主日礼拝説教

ナアマンのいやし

イエスさまがお生まれになる、800年以上も前のことです。 イスラエルの国に、エリシャという預言者がいました。このエリシャのところに、神さまは、一人の外国人を送りました。ふしぎな奇跡を、預言者エリシャに行わせるためです。
イスラエルの国にやって来たのは、北隣の国アラムの将軍ナアマンです。ナアマン将軍は、力が強いだけでなく、とても賢い(頭のよい人)でした。ナアマン将軍の活躍で、その頃、アラムの国は、まわりの国中でいちばん強くなりました。ですからナアマン将軍は、アラムの王さまにとてもかわいがられていました。大切にされていました。アラムの国で一番の英雄・ヒーロー、それがナアマン将軍だったのです。
でもナアマン将軍には、一つだけ、悩みがありました。病気で、長い間、苦しんでいました。体中がかゆくなり、痛くなる病気です。いったんかゆくなると、夜も眠れません。かゆいからかくと、血が出て、だんだん痛みになっていきます。朝まで眠れないことも、めずらしくありません。つらくて、仕方ありませんでした。
そんなある日、ナアマン将軍に、救いの手が差し伸べられました。それは、将軍の家で召使い(どれい)をしていた、一人の女の子です。この女の子は、イスラエルの国から無理やり連れて来られた女奴隷です。
イスラエルの国は、アラムのすぐ南隣です。そのため、アラムの兵士や軍隊が、イスラエルの国を襲ってきました。ナアマン将軍率いる軍隊がやってきては、畑を荒らし、食べ物を持って行ってしまいます。女の人や子どもたちはアラムに連れて行かれて、奴隷にされてしまうのです。
ナアマン将軍の家で働いていた女の子も、そうやって、アラムの国に無理やり連れて来られた一人でした。でも、女の子は、アラムの将軍が、毎日毎晩、病気で苦しんでいるのを見て、「かわいそう」と思ったのです。それで言いました。「あのね、わたしのふるさとイスラエルの国には、神様の預言者がいるの。預言者エリシャさんのところに行ってみてください。そうすれば、きっとつらい病気も、神様が直してくださいます。」 女の子の言うことを、ナアマン将軍は信じました。たくさんの家来を連れて、イスラエルの国に、預言者エリシャを訪ねて出かけました。
さて、イスラエルの国では大変な騒ぎになりました。だって、敵の国アラムから、最強の将軍が家来を連れてやって来たんです。「大変だ~、今度こそ、みんなやられる。もう、おしまいだ~」。国中がパニックになっていました。 ナアマン将軍は、イスラエルの王様のところに来て、お手紙を渡しました。それは、ナアマン将軍を心配して、アラムの王様が書いてくれたお手紙です。「ナアマン将軍の病気をどうかなおしてください。イスラエルの王様、よろしくお願いします」という手紙です このお手紙を読んで、イスラエルの王さまがパニックになりました。「そんなこと言ったって、わたしにはこの人の病気なんか治せないよ。」 「なんでこんな無理なこと言ってくるんだ。私にできもしないことを命令して、また戦争をしかけてくるつもりだな」。敵のことで心配するあまり、イスラエルの王様は怒り出してしまいます。 この知らせ、預言者エリシャは聞いていました。それで、王様に使いを送って言いました。「王さま、大丈夫です。わたしにまかせてください。神様は生きておられます。わたしのところに、ナアマン将軍を来させてください」。
そう聞いて、ナアマン将軍は、喜んでエリシャのところにやって来ました。そしてエリシャさんのお家の前に立ちました。ところがです。いくら呼んでも、エリシャさんは出てきてくれません。エリシャさんは、使いの人を送って、こう伝えました。「ナアマンさん、これからわたしが言うとおりにしてください。ヨルダン川の水の中に入って、7回、体を洗い清めてください。そうすれば、あなたは病気から救われます」。 これを聞いたナアマン将軍が、今度は怒り出しました。「なんだって! はるばる遠くからやってきたのに、ヨルダン川の水で体を洗えだって? そんな簡単なことで、わたしのこの病気がなおるとでも思っているのか。冗談ではない。わたしのふるさとには、もっと大きくて、きれいな水の川がたくさんある。こんなちっぽけな川の水で、しかも体を洗うだけで、病気がなおるというのか。そんなの信じられるか!」 ナアマンさんは、自分がわざわざやってきたのに、家から出て来もしないエリシャさんに怒っていました。「この無礼者! わたしをいったい誰だと思っているのだ!」 「預言者が、天の神に祈って、わたしの体にさわって、ものすごい奇跡をしてくれるのだと思ったのに。」「もう帰る! 帰ってアラムの王様に、お前たちのこと言いつけてやる!」 怒りに怒ったナアマンさん、帰ると言って聞きません。
これを見ていた将軍の家来が、言いました。 「将軍、お気持ちはわかります。でも、預言者はそんなにむずかしいことを言っていますか? ただ川に入って、水で体を洗えばよいのです。言われたとおり、やってみましょう。せっかく、ここまで来たのですから。」
信頼する部下にそう言われた、ナアマン将軍。「まあ、そうか。そうだな。よし、せっかく来たのだから、川で水浴びして帰るか」。そう思いなおした将軍は、預言者が言うとおりに、ヨルダン川の水の中に入っていきました。1回、2回、3回、4回、そうか7回だったな。言われたとおり、7回、水で体を洗ってみると、「えっ?あれっ、なんで、どうして?」 将軍の体は、みているうちに、子どもの体のように、きれいになっていきました。もうかゆいことも、痛いこともありません。血が出てしまうこともありません。 「ああ、神様」。ひれ伏して、神さまに感謝のお祈りをささげるナアマン将軍でした。 このあと将軍は、みんなを連れて、預言者エリシャのところに引き返します。そして、大きな声でこう言いました。「イスラエルのほか、この世界のどこにも、神はおられません。」 「主は生きておられます」。そういって、イスラエルの神、天地の造り主を信じる人に、ナアマン将軍は変えられていきました。
ナアマン将軍は、ヨルダン川の水で、体を洗い清められて、大きな病気から救われました。
ただ、どんなに大きな病気から救われたとしても、いつかまた、別の病気にかかって、人は生きていくことが、できなくなっていきます。 けれども、イエス様を信じて、洗礼を受けたなら、ちがいます。 イエス様を信じて、教会で洗礼の水を注がれた人は、罪から救われていきます。死から救われ、永遠の命を受けることができます。たとえこの体がほろびても、罪ゆるされて、神様と共に、永遠の命を、いつまでも、とこしえに生きることができるのです。 あの女の子は、それを伝えました。イエスさまになら、わたしたちを救えるよ。 神様は、今も生きて、わたしたちを愛してくださっています。わたしたちを救おうと、神様は今も働いておられます。この神様のことを、世界のみんなに、友だちに知らせたいのです。
たとえ相手がいじわるをした人でも、敵であっても、あの女の子がしたように。「イエスさまを信じたら、きっとあなたも救われます」。だから神さまのところに来てください。『教会に来てください。イエスさまのお言葉を聞いてください。』 イエスさまを信じて、身を清めていただくならば、わたしたちの未来は必ず開けていきます。どんな悩みからも、罪と死からも救われます。どうぞ、イエスさまのところに来てください。 主イエスさまは、今も生きておられます。神さまがおられる天で、神の右にいて、わたしたちとこの世界を救うため。イエスさまは、今日も働き、わたしたちに語りかけておられます。このイエスさまを、今からみんなに伝えに行きましょう。

(説教者:堀地正弘牧師)